研究科概要
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研究科長メッセージ

生きている一人ひとりのために

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研究科長
小林 俊明
(商法担当)
    千葉大学大学院専門法務研究科は「生きている一人ひとりのために」という理念のもと「心」ある法曹の育成を社会的使命とする、いわゆる小規模ロースクールです。
 一学年定員は40名(3年コース15名、2年コース25名)で、法曹資格をもつ新進気鋭の研究者教員から、実務家教員、法科大学院指導歴の長いベテラン教員まで、専任教員20名が小規模校の特性を活かした教育を実践しています。また、千葉大学法政経学部に所属する兼担教員のほか、本研究科を修了した若手弁護士も学生目線に立ち、親身な指導を行っています。
 当然ながら、本研究科は、法曹養成に特化した教育を担うプロフェッショナル・スクールですから、双方向の密度の濃い授業を基本としつつ理論と実務との架橋を意識した教育を実践していますが、難解かつ複雑な法的問題こそ基本が大切であるとの認識に立ち、基礎力を重視している点にも特徴があるといえます。
 本研究科で学ぶ皆さんは、法律家になるという気概と覚悟をもって自律的に学修することが求められます。同時に、社会問題に関する探究心と知的好奇心を忘れず、いかなる問題であっても、正面から取り組む勇気と粘り強さも重要とされます。
 現在、われわれの社会は、ますます激しい格差や分断が生じているように思われます。感染症対策によって人間関係も希薄化し、経済的に、あるいは精神的に追い詰められた人たちも少なくないようです。いじめ、児童虐待等、いたましい事件や人権侵害等が後を絶たない状況が続いています。皆さんのなかにも、平時にはおよそ想像しなかった不当な差別を見聞きして、心を痛めている方もおられるでしょう。このような時代だからこそ、幅広い視野と洞察力を備え、多様な価値観を尊重できる法律家が期待されています。そして、いかなる状況下でも冷静かつ柔軟に判断できる能力も不可欠でしょう。ただそれ以上に、しなやかで強い心、優しい心をもった法律家、社会的弱者に寄り添える法律家を目指してもらいたいと思います。それが冒頭の「生きている一人ひとりのために」という一文に込められたわれわれの願いであり理念です。
 法曹への道のりは、けっして平坦なものではないですが、チャレンジする価値のある専門職であることはいうまでもありません。幸いなことに、本研究科は、平成 16 年に設置されて以来、すでに 300 名以上の司法試験合格者を輩出してきました。修了生は、弁護士、裁判官、検察官として全国各地で活躍しています。千葉県が東京都に隣接することもあって、大手法律事務所に所属する弁護士も多いですが、法律過疎地域で活動する弁護士もいます。あるいは、企業内弁護 士や法務部に勤務する者なども増えています。皆それぞれ「生きている一人ひとりのために」という言葉を胸に秘め、法曹としての責務を全うしているといってよいでしょう。
 本研究科における履修課程も、他の大学院と同じようにハードなものですが、修了生の多くが本研究科で研鑽を積んだ、かけがえのない日々が財産であると感じているようです。本研究科で得た友人、先輩、恩師は皆さんにとって一生の財産になるはずです。本研究科には、互いに励まし合い、助け合いながら一丸となって目標に進むという良き伝統が受け継がれており、これこそが本研究科の一番の強みといえるでしょう。
 令和4年4月からは、法曹養成制度改革の一環として始まった法曹コースの卒業生が、本研究科に加わります。ますます多様なバックグランドを有する学生たちが本研究科で学んでいます。まさに法曹養成制度は新たな転換点を迎えており、法曹養成を担う私たちは、全力で皆さんをサポートしていく所存です。

 皆さんも、私たちとともに「生きている一人ひとりのために、生活者の視点を忘れない『心』ある法律家」への一歩を踏み出しましょう。



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